ノーノーイエスというお店が作ってる所作、という財布を使っている。どのくらい使っているのかというと、おそらくもう10年とかそのくらい。ひとつの財布を使い続けてる。
当時もネットでレビューなど探して買ったんだけど、いまも脈々と買ったとか、レビュー記事がヒットする。
革なので経年劣化でいい感じになるんだが、1年や3年のスパンではない。10年大事に使ってるので、紹介させてほしい。
家計管理してるわけじゃない実家ぐらしの大人の財布なので、毎日ハードに使う人よりはきれいかもしれない。
前の財布も相当使いやすかった
不況のアオリで倒産した、トップス1枚1万円とかのファッションブランドの二つ折り財布を使っていた。持つものは墓場までお前を持っていくという基準で選ぶてんびん座なので、あのときのことは覚えている。
札幌パルコの上りエレベーターのおり口正面に、ちょいエスニックなアイテムが並んでる店があり、服を買わない人間も手に取りやすい入り口横の棚にそれはあった。
服に興味ない大学生ほどの人間にとって、トップスが1万円くらいするのは相当なもので、多分この棚がレジ横とかなら出会ってなかっただろう。
エナメルのツヤツヤな深い赤の革が、デフォルメされたバラの形で抜いてあるのがアクセントの折りたたみ財布だった。
手にとって開いてみたら、小銭入れが箱型になるタイプでめちゃくちゃ使いやすい。ちょうどはたちになるとか、高専4年になったか、とにかくそういう縁起のいいタイミングだった。値段も1万円ちょっとくらいで「いいじゃん!」となった。
世の中が長財布ブームになってもずっとそれを使ってたんだけど、ボタンの色が金から銀になり、就職は失敗したものの社会人らしきものになって、無職になったときに買ったのが所作の財布である。
無職祝い……ではない
無職祝いとかではなく、たんに前の財布が子供っぽいかなと思い始めたのだった。前の財布は前の財布で使いやすいし、気に入っていたけど。
5年以上は使ったと思う。でもその間に「大人なら長財布」みたいな風潮を知り、弟が長財布を買ってもらってりしてるのをみて「たしかにこの財布、かなり前に買ったしなあ。飲み会とかで二つ折り財布出てきたらちょっと萎える年頃なのかも」という気持ちが大きくなっていた。
ただし新しくするとして、チャックのものは面倒くさくて閉めずに鞄に入れて小銭をぶちまけるからダメ。ボタンは一発で閉められなくてめんどくさくて閉めずに鞄に入れて小銭をぶちまけ以下略。がま口も使ってるうちに緩んできて鞄に入れて小銭を以下略。
もうバリバリ長財布しかないのか……いい大人なのに、と思い始めたときに、当時お気に入り登録してた男性料理ブロガーさんが紹介してたのだ。所作を。
袱紗がモチーフの財布だからチャックもボタンもない
着物のときに懐からスッ……とだす、お金などを包む袱紗がモチーフの財布なので、所作には構造上どうしても必要な部分に留め具があるだけで、お札ポケットにも、小銭ポケットにもチャックやらボタンやらがない。
これだ〜〜〜!!!!! となったよね。
財布にお金を入れてたら入れただけ使うため、お金もカードもほぼ入れてなかった私にはちょうどいい容量。普通の人なら枚数少なめなカード入れや、ちょっと取り出しにくそうな小銭入れも、全く問題ない。
むしろ使いにくければ財布自体を使わなくなるのでは!? とすら思った。
ものづくり好きとしてコンセプトやエピソードがしっかりある商品に対してのリスペクトや関心もあったし、これを買うっきゃねえと思った。
運命の財布はお前だ
すぐ買えばよかったんだけど、所作は同じものが基本的にない。ベーシックな商品はあるが、ハンドメイド品なのでどれもニュアンスが違うし、なにより限定品が多い。
持つものは墓場までお前を持っていくという基準で選ぶてんびん座として、「まいっか〜これで」ができなかった。記事を見てから1年以上考えたり、サイト見たりして悩みまくった。
革だから経年で違う顔になるし、所作は金箔とか銀箔とか、ドット箔とかいろいろあるし、どうしようか本当に迷った。財布の色は風水のサイトとかもめちゃくちゃ見た。
そんな中ポンと出た水牛の革を使った、グレーのニュアンスがいかした長財布が出て電流が走った。現行の商品だと革の水墨画というやつ。
シーツなんかも無地に織り目で柄がついてたりするようなのが好きなので、これだ〜〜!! となった。
届いたとき、箱の中から丸い革のコースターがでてきた。おそらく端切れを使ったサンプルをかねてるやつ。そしてその下から、写真通りちょっと起毛というかマットな感じのグレーの濃淡が素敵な薄い財布が出てきた。
10年以上使ってきた今はグレーの濃淡は写真ほどはっきりしないし、革もツルツルになり、だいぶ柔らかくなったけど、黒一色じゃないところが気に入ってるし、10年使うと使いごこちもかなりいい。
留め具も1箇所しかないため、壊れる気配も全然ない*1。ウォレットチェーンとか使ってないからよれてないし、永遠に使えそう。永遠に使えると思うからむしろ困ってる。
新しい財布が欲しい
欲しいんです(笑)。風水的に財布は数年ごとに買い替えたほうがいいみたい、という言い訳も用意した。でもまだこの財布を使っている。
じつは5年前くらいに所作の実店舗に行ったことがある。
時代はコンパクト財布! なときで、所作からもよりコンパクトな三つ折り財布がでていた。ただでさえ少ない小銭容量がさらに少なくなって大丈夫かな? 実機触ってみたいな、と思っていたところに静岡に行くことがあり、静岡から新幹線で銀座に行ったのだった(ちなみにこれが初めての新幹線だった)*2。
そのときまた電流が走った。
オイルヌバックのグリーン!!!! 苔むしてる色のこれめちゃくちゃかわいくね!?!?! そうやってビリビリしていたら、店員さんが声をかけてきた。
「これ、まだオンラインショップには出てなくてここだけなんですよ。あっ、経年品あるので見ますか?」店員さんのタイミングがすごい。これがプロ……? 店員さんの目には「こいつ買うな」に見えた?
出してもらった1年だか半年たったヌバックは、起毛が寝て艶がでてきていて、すでに柔らかい革がさらに馴染んむようになってて、これ買うわ!!!! となったのだった。
静岡のホテルに帰ってきて調べたところ、風水的にも緑色の財布はいいらしいということがわかり、るんるんだったんだけど、やはりコンパクト財布は使いにくくて1年たたないうちにメルカリで売ることになる。
使いにくいというか、私の鞄の相性とよくなくて。
ショートウォレット2.0は三つ折りゆえにコンパクトだけど、長財布の倍くらいの厚みがある。リュックサックの背中側に財布をいれていたものとしては、主張がすごくてちょっと使いにくかったのだった。
でも色は最高だった。本当だよ。
オンラインショップには長財布ヌバックのグリーン、さらに迷ってるブライドルのグリーンもあって、何年も「欲しいな〜、でも今のやつも使えるしとくに不便ないしな〜」と思っている。
所作にむいてる人
もののコンセプトとかエピソードが好きな人。醸造所のエピソードとか読んで「ほーん、ええやん」とか考えながらクラフトビール飲む人。
薄い財布がいい人。小銭やカードで財布が手帳みたいになってない人。お支払いはカードや電子マネーが多い人。人と違うのがいい人、とかには向いてるんじゃないでしょうか。
ちなみにメンテは一切してないです。嘘です、ときどきハンドクリームぬった手でなでなでしました。でもそのくらいです。
ポケットにいれて使っていたら型崩れとかもあったかっもしれませんが、自分のように鞄にいれて使ってるスタイルなら型崩れもほぼなく、壊れることもなく、かなり長いこと使えます。有償クリーニングサービスもあるし、本当に永遠に使えるんじゃないの……? 部品もほぼないから壊れないし。
持つものは墓場までお前を持っていくという基準で選んでしまうと、気に入ってるし使えるのに、ちょっと気分転換したいくらいで新しいの買うの……? という気持ちがなくならないので、まだまだしばらくは買い換えられないと思う。
あとから知ったけどこの水牛の財布は、一応お店としては男性向けということらしい。たしかに……? 女性の鞄からスッとこれ出てきたら、ちょっと男っぽいかも。そのへん考えたことなかったな。
↑ つくってるお店
所作はyahooショップとBASEショップで品揃えがちょっと違います。ヌバックとブライドルのグリーンがいいんだよ〜、と書いたけどACRMTSM ONLINE STOREで取り扱ってるドットキルトの型押しもめちゃくちゃかわいいな〜と思った*3。
yahooショップ: https://shopping.geocities.jp/shosa-nonoyes/
baseショップ: https://www.shosa.tokyo
ACRMTSM ONLINE STORE: https://www.acrmtsm.jp/brands/55