何かを語ろうとすると、物語の確信に触れねばならないので、あらゆるネタバレを許容できる方のみ読んで下さい。
1945シリーズでついに運命のつがいが死によって別れる、というのをやってくれた。「碧のかたみ」「彩雲の城」と、操縦士・偵察員のペアで死ぬでしょ、と思ったところをなんとか乗り越えてきた。2回続けば3回めもあると思ったが、作者はやってくれた。
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人生そんなに甘くないよね!
ミステリー小説を読み慣れていると、好きなキャラクターはほぼ死ぬので、物語で重要なキャラクターが作者によって殺されることには慣れているけど、それをBLで拝めるとは。すごい力量を感じる。作者の力量はもちろん、これでOKを出せる編集がすごい。今まで2回生かしているんだから、今作も生きる方向で! としなかったのがすごい。
1945シリーズはただのBLではなくて、登場人物の人生の小説なんだが、本作はとくにそれが強い。
プロローグがすでに老いた主人公が、かつての上官の手紙を受け取るところからはじまり、エピローグで手紙の内容を読んだ主人公の様子が描かれるからだろう。私は物語を最後から読むタイプの人間なんだけど、それでも面白かったです。
つがいの片方が死んだことにより、本当に流れ星のようなBLだった……。
1945シリーズは戦時中の日本が舞台のBLということで、敬遠されがちなのかもしれない。少なくとも私は「そんな重そうなBL…」と思っていたけど、読んでみたらめちゃくちゃ筆力があるし、どの作品も涙ながらには語れない。
BL好きな人以外にも読んで欲しい恋愛小説です。
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